「愛人ラマン」(8)ー乗り合いバスの教会:映画ロケ地パーフェクトガイド
2016年8月 ベトナム旅行
サディックのロケ地の巡りの最後は、少女がサイゴンへ帰るバス乗り場についてです。
映画では、教会の前の広場がバス乗り場になっています。
この場面はどこで撮影されたものでしょうか。映画をよく見ると川の対岸から教会前の広場を撮っているようです。
グーグルマップで調べるとサディック教会がサディックの中心部の対岸にあります。
新しくなって少し形は違いますが、なんとなく雰囲気が似ています。
本当にこの場所で撮影したかはわかりませんが立ちよりました。
サディック教会は鉄の橋(Cầu Sắt Quay)を渡ったところにあります。
この鉄の橋は年代を感じさせます。
サディックの中心から橋を渡るとすぐそばに教会が見えます。
映画のでは川沿いの教会前がバスの発着所になっています。
少女は母親とポンコツのクルマで送ってもらいこの場所にやってきます。
マルグリット・ヂュラスはずいぶんクルマの名前に詳しく小説のなかでこのクルマの名前をちゃんと書いています。
クルマはシトロエンB12で、調べてみるとちょうど1929年代のモデルであることがわかります。
アノー監督もシトロエンB12を用意したようです。
鉄の橋のたもとに教会がありました。新しく建て替えられたのか、撮影の建物とは細部がことなりますが、中央の絵は同じ感じです。
場所は川のすぐ側です。
しかしながら、周りの雰囲気はバスの発着する広場があったのだろうかという雰囲気でいまひとつ確信がもてない状態です。
川沿いに教会があることは事実なので、サディックで撮影されたのであれば、この場所でなんだろうなあと思いました。
この場所は実はサデックの中心部からは離れています。
小説ではバス発着は市の近くの広場と書かれています。
こちらは町の中心部にあり、川沿いの場所でないことは確かのようです。
バスに乗ってでかけるシーンは重要な場面なので、このような場所を選んだのではないでしょうか。
ちなみに、バスの運転手の横の席は白人専用席だっとのことです。
マルグリット・ヂュラスの母は、運転手と顔見知りで、子供を守ってくれるようにいつも頼んでいたと小説には書かれていました。
時間は14時ぐらいになってきました。
この後、サデックにもフェリー乗場がありますので、ドライバーさんにフェリーに乗って川の向こうに行けないかとお願いしましたが、かたくな拒否されました。
時間が足りなくなるとのことでフェリー乗場を見てホーチミン市に戻ることになりました。
サデックの主なロケ地を回ってみた感想です
サデックの中心は小さな町でマルグリット・ヂュラスが住んでいた小学校の官舎と中国人青年の生家は歩いて10分ぐらいの距離にあります。
このような小さな町で白人のマルグリット・ヂュラスはとても目立った少女で、誰もが知っている存在だったでしょう。
中国人青年はパリに留学していたことから、マルグリット・ヂュラスは知らなかったかもしれませんが、サデックに戻ってきた中国人青年はマルグリット・ヂュラスのことを十分知っていたのではないでしょうか。
フェリー乗場での運命の出会いは、偶然のものだったのでしょうか?
サイゴンからサデックまで彼らと同じ道を走ってみて感じた印象は、この2人のロマンスは偶然のものでなく、中国人青年の綿密な計算のもとに生まれたロマンスではないかということです。
リムジンの後部座席から、フェリーの手すりに佇む少女をじっと見つめていた青年は少女にすでに恋をしていて、あの日、勇気を振り絞って少女にアプローチしたにではないでしょうか。
偶然のフェリーの上の出会いではなく、唯一、二人が話せる場がフェリーの上だったのではないでしょうか。
1929年のフランス植民地時代、白人少女と中国人青年が、唯一話せる場所は、メコン川支流を渡るフェリーの上だった、そういう時代だったのではないでしょうか。
サデック教会はグーグルマップのNhà thờ Sa Đécです。
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