「愛人ラマン」(7)ーサデックの青い家2:映画ロケ地パーフェクトガイド
2016年 ベトナム旅行
前回に引き続きサデックの青い家について書いてゆきます。
小説の舞台となった中国人青年の生家は、映画ラマンの風景とはまったく異なります。
映画では、マーケットの中から船で対岸の家にわたります。
家は川沿いに建つオレンジ色のコロニアル風の家です。
この場所を特定するため、何回も「Making of L'Amant 」を見ました。
アノー監督はサデックの町中の川をボートで移動して、マーケットにつくシーンがあります。そのマーケットの対岸にオレンジ色の建物が二つ見えました。
青い家のロケ地はサディックマーケットの対岸の家だったようです。
この家はまだあるのでしょうか。
「ヒュン・フィン・レイ」の生家の前の川からマーケートの方を眺めるとありました。
オレンジ色の屋根の建物が二つ、マーケットの対岸にありました。
青い家に中国人青年が訪れるシーンは2つあります。
まず、雨の日に少女との交際を許してもらうために父親に会いに行くシーンです。
こちらは、小説の中に同様の記述があります。
もう一つは中国人青年が親が決めた中国人女性と結婚するシンーン。
実はこちらは小説の中にはまったく記述がない、アノー監督のオリジナルシーンなのです。
小説では、青年の結婚式を見ることはなく、青年がいつ結婚したかもわかっていないように書かれています。
ただ、青年の花嫁は「黄金とダイヤモンドと翡翠とで覆われた娘」との簡単に書かれているだけです。
しかしながら、アノー監督は膨大な時間と費用をかけて、中国l人青年の結婚式をサデックで撮影したのです。
その結果、1929年当時のベトナム華僑の結婚式を再現したシーンは映画後半を印象づけるシーンとなりました。
撮影当時の青い家周辺の風景はこのような風景でした。
拡大するとこのようです。
そして、なんと手前にあった家を取り除いて、家を青くして、テラスを設けて撮影したのでした。
下の写真は2つあるオレンジ色の屋根の手前側の家の拡大したものです。
これを見た私は、撮影の青い家と思いましたが、あとでよく見ると2つの家は対象形になっており、撮影は奥の家でした。
撮影当時の面影は今も残っているようです。
「ヒュン・フィン・レイ」の生家の前の道の西側はきれいな川沿いの歩道となっています
東側はマーケットに続く道で川沿いの建物が取り壊されて、広場に整備されている途中です。
こちらは国道80号(QL80 A)をサディック市内に入ったところの川の風景です。
奥にサデックマーケットが見えます。
「Making of L'Amant 」の中でアノー監督一行がボートで川をさかのぼり、マーケットに行く風景の場所です。
このような風景を見ているとサディックの良さが伝わってきます。
マルグリット・ヂュラスが描いたサデックの中心地を使ってロケをしようと決めたアノー監督の気持ちがなんとなく理解できる気がします。
そのために青い家での結婚式風景の場面を作りだしたのでしょうか。
メコン川の支流ティエン川と並行してサデック中心を横切る川。
ここを多くの船が行き交います。
その川をあえて渡って嫁ぐ中国人花嫁の結婚風景を作りだしたアノー監督の真意はどこにあったのでしょうか。
下の地図の Chợ Sa Đécがサデックマーケットです。
またQL80 Aと書かれている橋が上の写真の撮影場所です
0コメント